「マニュアル制作」関連コラム

Webマニュアルには強い秩序がない

紙冊子のマニュアルには強い規則がある

特に冊子形式の紙マニュアルには、記載の順番を強く指示する固有の特徴、「ページ順」があります。通常、取扱説明書などの紙冊子形式のマニュアルでは、このページ順をうまく利用して記載が構成されます。

例えば、製品やサービスを使用する前に知っておいてほしいことは、前方のページに記載され、反対に、使用中に発生するトラブルへの対処法は、一通りの使用方法の記載後、その後方のページに記載されるのが一般的です。

また、使用方法については、基本から応用へと読み進められるように、前方のページから後方のページに向かって難易度が高くなるよう配慮されます。

Webマニュアル上では読む順番を規定することは難しい

Webマニュアルは、一般的にサイト上に公開されます。その結果、インターネットデバイスさえあれば、いつでも、どこでも、マニュアルにアクセスできるという、紙のマニュアルにはない利便性を持つことになります。

しかし同時に、Webマニュアルの読まれかたは供給側の意図を超えたものになることが多くなります。

というのも、Web上のコンテンツは、いずれも「検索」によって「発見」され、そのページから読まれていくという特徴を持っているからです。

つまり、Webマニュアルは「いつでもどこでも読まれると同時に、どこからどのような順序で読まれるかわからない」存在なのです。

もちろん、紙冊子であっても、途中から読まれることは大いにありうるわけですが、同時に、「もの」としての手触り感に支えられた「ページ順」の存在はやはり無視できないものでしょう。

また、Webマニュアルにも「もくじ」ページを設定するなど「ページ順」を意識した秩序を付与すべく工夫がなされますが、その効果のほどは「検索」の前では極めて小さいと言わざるを得ません。

2つの課題—「ページの最適化」と「適切な誘導」

「検索」を経て任意のページから読まれうるWebマニュアルでは、読み手が読み始めるまさにそのページその場所で欲する情報を読み手に提供できるかどうかが、成功の鍵を握っていることになります。すなわち「ページの最適化」です。

また、ひとつのページから関連する次のページへの移行をスムースに行うためには、より「適切な誘導」も必要です。

この2つの課題について、「もの」としての紙マニュアルが持つ「ページ順」という秩序を期待できないWebマニュアルでは、まったく異なる独自のアプローチが必要になります。

Web解析—Webマニュアル作成上の利点

Webマニュアルには、2つの課題に取り組むにあたって、強力な手段があります。

それがWeb解析です。

通常のWebサイトと同様に、Webマニュアルでもページ(ファイル)単位でWeb解析が可能です。

解析から得た数値や知見を利用し、読み手にとって有用なページとして機能しているかどうかを判断し、適宜必要な改善を行うことができるのです。

併せて、紙マニュアルと比べて改訂作業が容易に行えるのもWebマニュアルの特性のひとつと言えます。

公開、解析、改善をくり返すことが、Webマニュアルでは可能になります。

このプロセスを経て、「ページの最適化」「適切な誘導」を高めていくことで、読み手が求める情報をより適切なかたちで提供することがWebマニュアルの目標のひとつと言って良いでしょう。