「AIサービス」連載「象をなでる、藪をつつく」
3 トラブルシューティング入りの情報源
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3-1. トラブルシューティング入りの情報源を使ったら
さて、トラブルシューティング入りの情報源を与えた場合のAIの答え方を見てみるため、かねてDify上で作ってあった、トラブルシューティング入りのナレッジベースを、これまで使っていたナレッジベースと切り替えて、これまでと同じ質問をしてみました。
あなたは有能なアシスタントです。
以下のXMLタグ<context></context>に挟まれたコンテキストのみを知識として回答して下さい。
<context>
{{#context#}}
</context>簡潔に回答して下さい。
知識に見つからない質問に対しては、わかりません、と回答して下さい。
「~できない」という形式の質問に対して、故障や不具合を想定した文言は使わないで下さい。
以下および以下に類する相づちや前置きは使用禁止です。
「もちろんです」
「それは困りますね」
「それは問題ですね」
すると、驚いたことに、本当に同じプロンプトなのかもう一度確認したい、と思うくらい回答が違います。
たとえば、「機能Aの設定方法を教えてください」という質問に対する答えはこうです。
- 画面の[設定/決定]ボタンを押す
- 上下カーソルをくり返し押して、青い枠が「機能A」を囲むようにする
- 左右カーソルをくり返し押して設定を変更する
- [設定/決定]ボタンを押して、終了する
見事に必要な手順だけを情報源から取り出してきています。トラブルシューティングなしだったときの
機能Aの設定方法は以下の通りです:
- まず、画面の[設定/決定]ボタンを押します。すると、各機能の設定画面が表示されます。太線で囲まれている設定値が現在の設定です。設定の必要がない場合は、 [設定/決定]ボタンを押して終了します。
- 次に、上下カーソルをくり返し押して、青い枠が「機能A」を囲むようにします。
- 左右カーソルをくり返し押して設定を変更します。
- [設定/決定]ボタンを押して終了します。すると、各機能の設定画面が消えます。
に比べて、質問への受けや操作の結果の記載を省いているところなど見事なものです。
さらに、「機能Aが設定できない」という質問に対しては、
「機能Aを設定する」をご覧ください。
の一言で終わりです。本当は、質問者が「機能Aを設定する」を参照できない状況も想定してほしいので、不備な回答ではあるのですが、トラブルシューティングなしだったときの
機能Aの設定方法は以下のとおりです。
- まず、画面の「設定/決定」ボタンを押します。すると各機能の設定画面が表示されます。
- 次に、上下カーソルをくり返し押して、青い枠が「機能A」を囲むようにします。
- そのあと、左右カーソルをくり返し押して設定を変更します。
- 最後に、「設定/決定」ボタンを押して終了します。すると各機能の設定画面が消えます。
この手順に従えば、機能Aを設定することができるはずです。それでも設定ができない場合は、デバイスの故障の可能性もありますので、販売店や製造元に確認してみてください。
のような、冗長で最後に余計な案内まで付け加えてしまう回答よりはいっそいさぎよくて好感がもてます。
「トランプ大統領とは?」という質問にも、以前のいささか丁寧すぎる「すみません、私の知識ではその情報を提供することはできません。」ではなく「わかりません。」の一言で、個人的には非常に好みの距離感です。
3-2. 返答が変わった原因
ここまで返答が変わった原因は、どこまでがAIへの指示で、どこまでが情報源の変化やそのほかの要素なのか推測するために、指示を全くなしに戻して、同じ質問をしてみました。
すると、返答自体は制限がない分かなり長いものになったのですが、特に指示をしていないのに、「もちろんです」のようなあいづちがまったく出てきませんでした。さらに、
機能Aを設定する方法は以下の通りです。
- 画面の[設定/決定]ボタンを押します。
- 各機能の設定画面が表示されます。
- 太線で囲まれている設定値が現在の設定です。
- 設定の必要がない場合は、[設定/決定]ボタンを押して終了します。
- 上下カーソルをくり返し押して、青い枠が「機能A」を囲むようにします。
・・・
のように、手順の操作文と結果文をきちんと切り分けて持ってくることができています。
トラブルシューティングなしのときに、
機能Aを設定するには次の手順を行ってください。
- 画面の[設定/決定]ボタンを押す。これで各機能の設定画面が表示されます。太線で囲まれている設定値が現在の設定です。設定の必要がない場合は、 [設定/決定]ボタンを押して設定を終了します。
- 上下カーソルをくり返し押して、青い枠が「機能A」を囲むようにします。
・・・
のようにむりやり操作とその結果をまとめて提示するようなことになっていません。これはAIの受け答えが賢くなったようにも見えますが、そもそも「トラブルシューティングつきの取説」をハンドリングする事例のほうが圧倒的に多くてもとからうまく受け答えができるようになっているという気もします。
「~できない」という質問に対しても、
「機能Aを設定する」をご覧ください。以下の手順を試してみてください。
・・・(手順中略)・・・
これで機能Aが設定できるはずです。もし問題が解決しない場合は、他のトラブルシューティングの項目を確認してください。
とかなりモデラートな受け答えで、トラブルシューティングがない場合の
機能Aを設定するための手順は以下の通りです。試してみてください。
・・・(手順中略)・・・
以上の手順で設定できない場合は、デバイスの故障の可能性があります。この場合、製品のサポートセンターに連絡することを推奨します。
というような極端な受け答えに走らずに済んでいるようです。
実験環境を一度作り直しているので、改めてトラブルシューティングなしの場合を再検証してみなければいけないのですが、今回の実験で受けた印象としては、今使っているAIはトラブルシューティング付きの取説というもののあしらいにトラブルシューティングなしの場合にくらべてはるかに慣れていて、なにも指示を与えない場合でも安定した受け答えができるようでした。
